こんにちは。ごとりんです。さて,第5回では「幽霊」が題材でしたが次の第6回では「ヒモ」がお題になります。「ヒモ」といっても,引越しのときとか宅配便を送るときに荷物を固定するために用いる「紐」(ヒモ)のことではなく,女性に寄生して自分では働きもせず,家事もしないでお金をもらうタイプの男性のことです。
幸か不幸か身近に「ヒモ」がいないので,あくまで想像するしかないのですが,社会的・経済的に女性に「寄生」するには,それなりのテクニックが必要です。もし私が「ヒモ」として生きるのであれば,どういう戦略をたてるかを今回語って参りましょう。
(1)「ヒモ」とは何か
「ヒモ」は所得がないうえに,働こうともせず家事もしません。家事をおこなっている場合は,「ヒモ」ではなく立派な「主夫」です。国内総生産(GDP)の計算でも主婦の家事は付加価値の計算に組み込まれますが,「ヒモ」の場合にはそうした付加価値をまるで生み出さそうとしないのが特徴です。
また「ヒモ」はすべて合法的な存在です。民法では「贈与契約」を典型契約に含めていますが,「ヒモ」はあくまで合法的に金銭やら車やらを受け取り,女性は自主的に「ヒモ」に贈与します。これが無理やり暴力やらなんやらでお金を巻き上げるタイプの男性は,「ヒモ」ではなく「犯罪者」ということになります。
つまり「ヒモ」を定義するのであれば,以下のようになります。
「ヒモとは,合法的に異性から金銭など有価物を受け取り,自らは労働や家事などをおこなうことなく生計を立てている男性のこと」
「有価物」というのがポイントで,たとえば「愛」とか「真心」とか「思いやり」とかお金に換算できないものをもらっても「ヒモ」には意味がありません。あくまで女性から受け取るのは,貨幣に換算できる「有価物」でなければなりません。ホストクラブのホストなどは、一見「ヒモ」っぽいですが、ちゃんとお店で働いていて、付加価値を生み出す労働に従事していますから、「ヒモ」ではないですね。
(2)「ヒモ」の強みと弱み
「ヒモ」として生きていくには,まずその強みと弱みを把握しておかなければなりません。スタンフォード大学のアルバート・ハンフリーによって完成・発展した手法で強み(Strength)・弱み(Weakness)・機会(Opportunities)・脅威(Threats)の頭文字をとってSWOT分析ともいわれます。このSWOT分析を「ヒモ」に適用してみましょう。
この強みと弱みを図解しますと,以下のようになります。
説明するまでもなく,女性に寄生して生きているわけで,それ以外さしたる特技をもたないのが「ヒモ」です。したがいまして,「稼ぎのいい女性」とめぐり合えるかどうかが生死を分けるポイントとなります。また,ホストクラブの若くてかっこいいホストなどが競合相手として出現しますから,その対抗策も講じておかなければなりません。さらに国内GDPや有効求人倍率など国内の景気動向にも気を配る必要があります。不景気になれば,寄生先の収入も減少しますから,「ヒモ」の生活も先細りとなってしまいます。
「強み」は,元手(資金)がいらないので,「今日からヒモだ」と宣言さえすれば,「ヒモ」になれるというのが「強み」(?)です。ただし,社会的信用がまったくないので,銀行で住宅ローンを組むなどは夢のまた夢ということは認識しておく必要があります。
(3)SWOT分析から見えるもの
SWOT分析をした後は,それぞれの要因を掛け合わせてクロスSWOT分析をおこないます。「強み」と「機会」を掛け合わせて積極策をとるという場合や、「弱み」と「脅威」を考慮して最悪の事態に備えるといった方策を考えていきます。具体的にはまた、あらためて「ヒモとは何か~雄志編~」で展開していきたいと思いますが、強みと弱みの特性からは以下の行動特性を読み取ることができます。
①女性の送り迎えをまめにする。
「あら、意外に女性想い…」というわけではありません。さしたる取柄がないのが「ヒモ」で、しかも寄生している女性に新しい彼氏などができると、「ヒモ」の生活は成立しません。したがって、なるべく他の男性と知り合ったりデートしたりといった機会を奪うために、送り迎えをまめにするのがヒモの鉄則といえるでしょう。このマメさを、何か生産的な活動や社会貢献活動に振り向ければ、もう少し「ましな人生」(?)になりそうですが、そうした前向きな発想ができないのも「ヒモ」の特性です。
②「大きな夢を語る」
「俺はいつか衆議院選挙にでててっぺんとったる」…とまではいかなくても、ちょっと本当っぽい大きな理想を語るのも「ヒモ」の特徴です。その割にはタバコ代など小さなお金は女性から借りたりしますが、「大きな夢を語り、小さなお金を引き出す」ことで、女性は安心し、「ヒモ」の生活は安定します。元手がいらないお仕事ですが、その分、こまめなリップサービスや虚言癖すれすれの大言壮語は必須のスキルです。
③預金通帳を2通以上持っている。
とはいえ、しょせんさしたる取柄がないのも「ヒモ」。いつかは真実がばれる日は来ますから、その日のために積立定期預金やNISAなど、あらゆる手だては講じておきましょう。とはいえ「定期預金が3,000万円あるのになんで私からお小遣いをせびるの?」といったもっともな質問を避けるために、それとは別に残高-100,000円くらいの預金通帳も用意しておく必要があります。もちろん彼女には赤字の定期預金を見せて、積立定期預金のほうは銀行の貸金庫にでも預けておきましょうね。
他にも「強み」と「弱み」から導き出せる鉄則はいろいろあるのですが、あんまり詳細に書いていると、リアリティが必要以上に増してきますので、今回はこれくらいにしておきます。ただまあ、一つ言えるのは、けっこう気楽そうに見えて、意外に面倒なのが「ヒモ」なのかもしれません。細かくみていけばみていくほど、悲哀さがにじみ出てくるのがこの生き方ですが、「悲哀」を認識しているヒモとそうでないヒモとの差は、けっこう絶望的に大きい気がします。